なくなった歯やなくなった骨の一部を補い、機能と形態や見た目の不良を回復するのが義歯(入れ歯)です。
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歯をおぎなう治療
義歯 ブリッジ インプラント
失った歯を補って、機能と体裁を回復するために用いるのが欠損補綴物です。この欠損補綴物には義歯(入れ歯)とブリッジとインプラントがあります。
日本人は55歳以上になると平均2本以上の歯を失っており、半数以上が欠損補綴物を使うようになります。70歳以上になると平均8本以上の歯を失っています。この70歳を境に、若い年齢層にはブリッジ装着者が多くて、70歳以上の年齢層では義歯装着者の方が多くなってます。これは義歯の方がブリッジよりも多くの喪失歯数に対応できるからでしょう。一方、インプラントの装着者は65〜69歳で4.6%ですが、その他年齢層では2〜3%台の装着率にすぎません。このように、加齢とともに増える喪失歯数に応じてブリッジと義歯が使われており、最近様々に話題になるインプラントはまだまだ少ないのが現状です。
しかしながら、年齢が若いからといって、また、喪失歯数が少ないからといって、一概に義歯よりもブリッジを選んで良いわけでありません。義歯とブリッジにインプラントを加えても、これらは欠損補綴物の一選択肢に過ぎません。さらに、義歯にもブリッジにもインプラントにもそれぞれに特徴の違ったバリエーションがあります。
ですから、喪失した歯の数と位置、残っている歯の形、大きさ、むし歯の治療状況と歯周病の現状、さらには、健康状態、通院可能な回数、当面の費用など、様々な観点から最適な欠損補綴物を選択することが大事です。当院では、最初に一人ひとりの患者さんの治療についての希望をお聞きした上で、精密な検査に基づいて欠損補綴物を設計して提案いたします。
目次
義歯,ブリッジ,インプラントを
長期に使い続けるために大事なこと
失った歯をおぎなう時に、その歯を失った原因を探ることが、欠損補綴物を製作する我々にとってもそれを使う患者さんにとっても大事です。一般的には、歯科の二大疾患のムシ歯と歯周病が歯を失う大きな原因であることは確かです。そこで、一人一人の患者の皆様に今までの治療歴を尋ねて、歯を失った原因がムシ歯によるものか歯周病によるものか把握します。こうしておけば、歯をおぎなった後の罹患傾向を推測して、以前と同じことを繰り返さないように努めることができます。
しかし、多くの臨床例を長期に観察していると、歯を失った原因をムシ歯と歯周病だけに限定できないことに気付きます。「噛めば噛むほど健康になる」というような、噛む回数が多くて力が大きいほど、丈夫で健全な歯であるとする 健康感が世間一般に定着していますが、歯はそれに作用する様々な力に耐えられるものだと考えるのは誤解です。実際には、噛む力が歯を崩壊することがあります。さらに、歯ぎしり、噛みしめ、舌先で歯の裏側を押したり、舌先を前歯でかんだり、舌先を歯の隙間に挿入したりする癖、頬の内側を吸ったりかんだりするような噛む以外の口の動作にかかわる力が歯の弱体化にかかわることもあります。「力 」のありようが、長期的に観ると口の健康にとって大きなリスクファクターになっています。歯を失うこと、さらに、失った歯をおぎなった欠損補綴物の 寿命にも、ムシ歯と歯周病に加えて「力」が大きく関わってます。
欠損補綴物を長期に使い続けるには、歯をおぎなう前に失った原因を知ることに加えて、おぎなった後の周囲組織の負担を意識することも重要です。欠損補綴物をどんなに工夫を凝らして設計して精密に製作しても、様々な「力」を負担するのは残っている歯と歯肉と歯槽骨です。つまり、義歯もブリッジもインプラントも原則として残っている周囲組織に負荷をかけ なければ成り立ちません。そこで、これらの補綴物を長期に使い続けるには、周囲組織の負担を監視し続けるメインテナンスが欠かせません。
欠損補綴物の2つのリスク
1. 歯の欠損を生んだリスク
ムシ歯? 歯周病? 力?
おぎなった後も引きつづ いてリスクになる
2. 欠損をおぎなって生じるリスク
欠損補綴物は残っている周囲組織に負荷をかけ なければ成り立たない
義歯、ブリッジ、インプラントの違い
義歯、ブリッジ、インプラントは、いずれも決して万能ではありませんから、ケース バイ ケースで義歯、ブリッジ、インプラントを選択すべきです。一般的な義歯、ブリッジ、インプラントの違いをまとめました。
おぎなう方法に迷ったら義歯から始めてみよう
義歯はブリッジのように歯を多量に削ることなく、インプラントのように外科手術の必要がありません。
義歯では歯のごく一部を削ってクラスプ(爪)がかかる小さなくぼみをつくる
ブリッジでは歯の周囲を歯茎の際から咬む先まで全面を削る
インプラントでは骨にドリルして、インプラント体を埋める穴を開ける
さらに、義歯は比較的短期間で経済的に取りつけられることや、壊れても修理が容易等、義歯ならではメリットがあります。
しかしながら、ブリッジやインプラントは歯の欠損を天然歯に似たような形に補うことができますが、義歯では天然歯にない義歯固有のパーツが異物感を感じさせます。
クラスプ
床
クラスプ(爪)
義歯には歯のない部分の歯肉の上に乗るピンク色の床と、義歯が外れないように残っている歯にひっかけるクラスプ(爪)がある。
ブリッジとインプラントには床とクラスプ(爪)がなくて天然歯に形が似てる
また、義歯で噛むと歯ぐきに圧力がかかるので、その強さによっては痛みを感じることもあります。一人一人の患者さんによっての異物や圧力の許容度が違いますから、同じような義歯を装着しても、問題なく受け入れられる場合もあれば、なかには拒否されることもあります。努めて良い義歯を製作しても、義歯は本来、口の中にはない異物で、義手や義足のような機能回復のための道具ですから、使いこなすためには練習して慣れることが大事です。慣れるのに必要な時間は人によって違いますが、 義歯に前向きにチャレンジする気持ちを持ってください。当院はこのチャレンジをできるだけサポートします。
義歯もブリッジもインプラントも、どれも万能な欠損補綴物では決してありませんから、ケース バイ ケースで選択すべきです。どれを選ぶか迷うならば、まずは義歯を試してみることを勧めます。義歯を試して満足できなかった場合に、そこから歯を削ってブッリジにしたり、外科手術してインプラントを開始しても遅くはありません。
ただし、試してみる義歯は健康保険適応の義歯でも基本に忠実に設計して、丁寧に製作・調整した適切な義歯でなければなりません。設計を技工士に丸投げして製作される義歯もあると報道されてますが(※1、このような義歯はうまく合うはずがありません。当院院長は補綴歯科学会認定医・指導医であり、長年の経験に基づき一つ一つの義歯を設計して、優秀な歯科技工所に製作を依頼して、丁寧に調整いたします。
※1. https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190607-OYTET50009/2/
義歯は多種多様です。
院長は大学院で部分義歯を担当する講座に所属して、義歯の設計・製作・管理について研鑽を積みました。暫くは非常勤講師として学生指導を担当し、補綴歯科学会の専門医・指導医資格を取得して現在に至っております。従来より義歯について様々なアイデアが脚光を浴びてきました。
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人工歯とその下の床以外を金属で製作する薄くて丈夫なメタルプレート義歯
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クラスプ(爪)が歯にかける負担を軽くするRPIシステム義歯
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残っているの歯の歯周病予防を考慮したハイジニック義歯
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残っている歯の上に義歯をかぶせることで固定するコーヌスクローネやテレスコープ義歯
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義歯に組み込んだ磁石で固定する磁性アタッチメント義歯
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金属のバネ(メタルクラスプ)を使わないノンメタルクラスプ義歯
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生体用シリコンをクッションに用いるコンフォート義歯
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歯ぐきが噛む力で変形する様子を型採りして記録する模型改造印象法
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食事や会話中の頬や舌の動きを型採りして記録する動的印象法
その他、細かく取り上げていけばきりがありませんが、常に、最新の義歯製作の動向に注目して、当院が製作する義歯に取り込んでおります。
メタルプレート義歯
異物感が少なく、装着感の良い精密義歯
義歯の内側の大部分は金属製で薄くて、入心地が楽。
クラスプを始め義歯全体が高精度・高強度で義歯の安定が優る。
保険適応外
スタンダード:¥250000から
エコノミー:¥150000から
RPI システム
支える歯の負担を軽減する義歯
アメリカで生まれた設計
金属クラスプが目立ちにくい
近年流行のノンメタルクラスプよりも義歯が緩みにくい
保険適応外¥280000から
ハイジニック義歯
歯周病予防に配慮した義歯
北欧で生まれた設計
歯垢がたまりにくくて、清掃しやすい
通常設計よりコンパクトな仕上がり
保険適応外¥280000から
コーヌス義歯
残ってる歯にかぶせて固定する義歯
ドイツで生まれた設計、クラスプを使わず体裁が良い
しっかりと義歯を固定できる。支えるに使う歯は、既にかぶせてる歯であることが望ましい。保険適応外¥350000から
磁性アタッチメント義歯
磁石で固定する義歯
日本で生まれた設計
クラスプを使わない自然な外観
むし歯、歯周病が進行した歯でも義歯の安定に役立てることができる
保険適応外¥200000から
ノンメタルクラスプ義歯(1)
歯冠色のクラスプで支える義歯
口元の目立つ部分のクラスプにプラスチックを用いた審美的心理的に優れた義歯
保険適応外¥130000から
ノンメタルクラスプ義歯(2)
歯肉色のクラスプで支える義歯
口元の目立つ部分のクラスプにプラスチックを用いた審美的心理的に優れた義歯
保険適応外¥130000から
コンフォート義歯
シリコンのクッションを備えた義歯
歯茎にあたる部分を特殊なやわらかいシリコーンのクッションで覆って、噛みしめた時の痛みを緩和する
保険適応外¥350000から
様々な義歯を紹介しましましたが、それぞれの義歯に適応症があります。人によって、また、同じ人でも歯を失った部位によっては、適応症にあてはまらないことがあります。この場合には、せっかく義歯を新調しても安定しなかったり、短期間で壊れることもあります。義歯に限らず、ブリッジでも、インプラントでも良い欠損補綴物をつくるためには、綿密な診査でお口と身体の状況を把握したうえで設計することが大事です。
健康保険の義歯は
ベーシックながらひと工夫して提供します
先に「義歯は多種多様です」で挙げたさまざまな義歯は健康保険の適用ではありません。これは健康保険制度は低価格で義歯を提供するために、歯科医師と歯科技工士の技術料を最低レベルに抑えて、義歯の設計・素材・作製方法をベーシックなものに限定してるからです。このために、健康保険の義歯の入れ心地や体裁、壊れにくさを保険適用外の義歯と比べると、どうしても劣ります。それでも、院長は補綴歯科学会専門医・指導医で、義歯作りが好きで得意ですから、健康保険の制限の中でひと工夫して、可能な限り良い義歯を提供するように努めてます。この結果、歯を失った多くの人に選ばれて使用いただいてます。多数の患者さんの中には保険の義歯にちょっと不満が残る方もいらっしゃるでしょうが、「失った歯をおぎなうために口の中で使っていこう」と思っていただける義歯を提供したいと考えております。
当院の健康保険の義歯は、
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設計は、決して技工士任せにせずに一つ一つ自ら行います。
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型採りは、二度三度行う事もあります。納得できる型で作りたいからです。
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製作は、国内有数の大手歯科技工所に依頼します。
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完成時には、できるだけ痛まないように調整してからお渡しします。
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完成後には、継続使用して頂ける義歯を目指して、使用感をお尋ねしながら調整します。
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メインテナンスでは、義歯の超音波洗浄をします。もちろん、緩みや痛みについて調整します。
歯を削る量を少なくできる接着ブリッジ
接着ブリッジ
通常のブリッジ
比較的少ない歯(たいてい1から2歯欠損)を失った場合に、失った歯の両隣の歯に冠をかぶせて、それらの歯を土台に橋をかけるようにして、人工の歯を固定する方法が通常のブリッジです。
通常のブリッジでは、両隣りの歯が健全歯である場合、冠をかぶせるために歯を削ることになります。削った後に歯内治療が必要になるケースもあります。このような場合に接着ブリッジならば両隣の歯の切削量が圧倒的に少なくできて、歯内治療をすることもありません。
接着ブリッジでは通常ブリッジに比較して,咬合力や歯の動揺で大きく歪んで外れやすいので、適応範囲が狭いです。たとえ1本歯を失っただけでも、欠損部が大きくなれば接着ブリッジが困難な場合があります。また、歯ぎしりや食いしばる癖があったり、強く噛む習慣があって歯がすり減っているような場合や歯周病で歯が動揺している場合には製作できません。
失った両隣の歯が冠を被せてある場合には、冠を外して通常のブリッジを製作します。この場合は接着ブリッジは適応できません。
接着ブリッジは通常のブリッジに比較して短い期間で外れることがあるとされてます。しかしながら,歯を削る量が少ないこと,治療回数が少なくて済むこと,外れても再治療が可能なケースが多いことなど、通常のブリッジに比べて優れている点がありますから、当院では失った歯をおぎなう補綴治療法の選択肢の一 つに加えてます。ご希望の方は当院に相談してください。なお、接着ブリッジには健康保険適応のものもあります。
接着ブリッジ
歯の表面の一部分を削って金属を貼り付けている支えている
かみ合わせに隙間があれば歯を削らずに直に金属を貼り付けて支えている
通常のブリッジ
歯の全面を削って冠をかぶせて支えている
歯の全面を削って冠をかぶせて支えている