歯科のチェアに腰かけると、歯科助手がエプロンをつけて、コップを置きます。すぐに自動で水が注がれます。患者さんの中には、ひと口含んでゆすぐ方がいらっしゃいます。いわゆる「もぐもぐうがい」「ぶくぶくうがい」をなさいます。「ガラガラうがい」をする人には滅多にお目にかかりません。その後に、治療が始まるのが ”治療の始まりのルーティン” でした。
ウイズコロナ期の今、仲田歯科医院では感染対策として、「新しい診療様式」取り入れてます。この中で、 治療の始め方を変えました。この変更は「全ての患者さん」を対象にします。これは、この対策がアメリカ疾病管理予防センター(CDC)が提唱した、標準予防策(スタンダード・プリコーション)を基本にして、全ての人が新型コロナウイルスに感染している危険性があるものと想定するからです。
新型コロナウイルスは飛沫感染します。感染者のくしゃみや咳、つばなどと一緒に放出されるウイルスが他の人にうつるのが「飛沫感染」ですが、WHOは、5分間の会話で1回の咳と同じくらいの飛沫(約3,000個)が飛ぶと報告していますから、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染を拡大させるリスクがあります。そこで、歯科治療中にウイルスが飛散したり、チェアや診療装置の表面を汚染してしないよいように、患者さんの口や喉やつばに潜むウイルスをできる限り減らすことにしました。このために、今までは治療の始まりに水でうがいをしていただきましたが、抗菌洗口剤でうがいをしていだくように変更しています。
厚労省の新型コロナウイルス感染防止の3つの基本は、「身体的距離の確保」と「マスクの着用」と「手洗い」で、「うがい」は含まれていません。インフルエンザの予防策でも、「流行前のワクチン摂取」や「適度の湿度の保持」が加わりますが、「うがい」は含まれていません。これは「うがい」で新型コロナウイルス感染症やインフルエンザが予防できるかというと、その効果が科学的に証明されておらず、疑問視されているからです。しかし、歯科医療での感染防御では、治療前に「うがい」をすれば,歯科処置中のエアロゾルに含まれる病原菌を減らせることが、従来から研究されていて、その有効性が証明されています。
それでは、数ある病原菌の中で新型コロナウイルスに有効に作用するのは、どの洗口剤でしょうか? 市販や歯科診療で使用される洗口剤はたくさんあって、その抗菌成分も多様です。
家庭や歯科診療で使用される洗口剤の抗菌成分
抗菌成分(抗菌成分略号):代表的製品名
グルコン酸クロルヘキシジン(CHX)C:コンクールF
塩化セチルピリジウム(CPC):ネオステリングリーン
塩化ベンゼトニウム(BTC):クリアクリンデンタルリンス
イソプロピルメチルフェノール(IPMP:システマEXデンタルリンス
ポビドンヨード(PI):イソジンガーグル液
エッセンシャルオイル(EO) :リステリン
この中で、中華人民共和国国家衛生健康委員会が発表した「新型コロナウイルス肺炎の診断と治療のためのガイドライン(第 5 版)」によると、新型コロナウイルスはクロルヘキシジンでは効果的な不活化はできないとし、ポピドンヨードの使用を推奨しています。また、東京歯科大学 奥田克爾名誉教授は、エッセンティシャルオイルのリステリン液は有効と考えられるが、グルコン酸クロルヘキシジンと塩化セチルピリジウム含有の洗口液は短時間でのウイルス不活化効果は低いとしています。
そこで、仲田歯科医院では、通常はイソジンガーグル液を使用して、ヨー素が使用できない患者さんにはリステリンによって、治療開始前に口と喉のうがい(所謂、モグモグうがいとガラガラうがい)をしていただいております。御来院の際には、よろしくご協力お願いします。
この、治療開始前のうがい以外にも、飛沫感染と接触感染対策に次のようなことも取り入れて、あわせて、患者の皆さんに安全安心の歯科医療を提供できるように努めております。
診察室内でもマスクの着用をお願いする場合があります。症状を説明する、相談する、質問する、談笑するなどスタッフと会話・お喋りする時にはマスクを着けてください。
患者さんお一人おひとりの治療が終わるたびに、チェアのヘッドレストを含む全面、うがい用ベースン、アームレスト、小物トレーなど診療用ユニット各部をアルコール消毒します。
各チェアを高さ170cmのパーテーションでしきって、正面の窓と換気扇から換気します。
診療で発生するエアロゾルを除去するために口腔外バキュームを全診療チェアに配備して使用します。
患者さんに咳などがある場合は治療の延期をお願いすることがあります。
職員は、治療中にマスク、グローブに加えゴーグルやフェイスシールドを着用します。
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