口腔乾燥症では、初めのうちは、唾液が少なくなったことを自覚しませんが、口内でネバネバやヒリヒリと感じることがあります。また、歯垢がたまって、ムシ歯が増加して口臭も強くなります。
重度になると、ますます唾液が少なくなって、口内の潤いがなくなり、強い口臭が出て、舌がひび割れ、痛みで食事と会話、さらには睡眠も困難になることもあります。
原因は、
唾液腺疾患、加齢、ストレスのほか次のようなものがあります。
口呼吸
鼻炎などの鼻疾患や癖などで口で呼吸をすれば唾液は蒸発してしまい口が渇きます
飲酒・喫煙
薬の副作用
抗うつ剤、鎮痛剤、血圧降下剤、利尿剤、抗ヒスタミン剤、抗パーキンソン剤などの多くの薬物の副作用として「口腔乾燥」「口渇」「口内乾燥」が記載されてます。
糖尿病
シェーグレン症候群
唾液腺、涙腺が萎縮して、口と目が乾燥する自己免疫疾患
検査は、
当院では、口腔水分計(ムーカス)を用いて検査しています。
検査値25未満を口腔乾燥症と診断します。
治療は
対症療法で、次のようなものがあります。
口腔乾燥症にまつわる副作用のある常用薬の減薬・変更
服用している薬剤が唾液分泌減少に関わると考えられる場合には,薬剤の影響を避けるようにしたいものです。
降圧剤や利尿剤、抗精神薬や 抗うつ剤など「口腔乾燥」「口渇」「口内乾燥」といったいった副作用のある薬剤を連用している場合には、主治医に薬剤量の減量や副作用の少ない薬剤への変更をお願いすることがあります。
唾液分泌改善薬の処方
シェーグレン症候群や放射線障害の場合には、保険適用の薬剤がありますが、これ以外の 口腔乾燥では保険適応できる一般的な薬剤がありません。
唾液分泌改善薬の適応外の口腔乾燥症では、漢方薬が有効なこともります。
唾液分泌改善効果のある漢方薬としては、白虎加人参湯、麦門冬湯、滋陰降火湯、十全大補湯、八味地黄丸、柴胡桂枝乾姜湯、五苓散などがありますが、このうち白虎加人参湯と五苓散が口腔乾燥症に保険適応です。
口腔のリハビリテーション
唾液分泌を促す効果的なハビリテーション(口腔機能訓練)にはつぎのようなものがあります。
唾液腺マッサージ
舌体操
パタカラ体操、無意味音節連鎖訓練
義歯があっていない患者さんでは、義歯を調整すると唾液分泌が促されることもあります。
義歯を使用していない患者さんには、唾液分泌促進のために義歯使用をお勧めすることがあります。
乾燥を予防する保湿剤
市販の各種口腔保湿剤を使用すれば、乾燥の予防になります。保湿剤には次の二種類があります。
液体保湿剤は粘膜への即座の保湿効果があります。
商品名は絹水、ウエットケア、ストッパーズフォー
ゲル状保湿剤は蒸散防止効果があります。
商品名はリフレケア、オーラルバランス
義歯を使用しているならば、ゲル状状保湿剤を義歯の内側に塗布するとなじむことがあります。
口呼吸がみられる場合には、口を閉じるための「口閉じテープ」(商品名ナイトミン鼻呼吸テープ)が有効なことがあります。
水分補給
急性の口腔乾燥あるいは唾液分泌低下では、水分補給が有効です。
長期経過となった口腔乾燥では,水分補給による効果は急性の場合に比べて少なくなりますが、日頃から十分に水分を補強することは大事です。
口腔水分計(ムーカス)の測定値が25未満が口腔乾燥症と診断されますが、27未満は、水分が不足しはじめて口の機能の劣えはじめとされ、オーラルフレイルの徴候として重視されています。ですから、口腔乾燥症は早期に見つけて、重症化しないように対処することが大事です。
オーラルフレイルについてきょうみ興味がおありでしたら、以下のボタンから当院のブログ「オーラルフレイルを知って、対策して、要介護を先延ばそう!!」をご一読ください。
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