健康保険の金属冠(銀歯)は、その素材の金、銀、パラジウムといった貴金属価格が高騰して、健康保険制度の財政にとって厳しい負担になっています。また、銀歯の色は、見た目が良くないのを気にしてらっしゃる方が多いうえに、金属アレルギーの方にかぶせることができません。そこで、健康保険で、金属のほかに、レジンと呼ばれる歯科用プラスティックとセラミックを組み合わせて作ったハイブリッドレジンを使えるようになってきてます。このハイブリッドレジンをComputer Aided Design/Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援設計/コンピューター支援製造)技術で被せ物に加工したものをCAD/CAM レジン冠と呼んでいます。このCAD/CAM レジン冠は2014年に一部の歯に限って保険適用となり、 その後、2020年4月からはその範囲が増えて、第一小臼歯・第二小臼歯・、第一大臼歯(真ん中の歯から4番目、5番目、6番目の歯)に対して保険適用になり(注、第一大臼歯は、上下顎左右の第二大臼歯がすべて抜けていないことが必須条件です)、去年の12月から第二大臼歯(真ん中の歯から7番目の歯)にも適用可能になりました。そして、今年、CAD/CAM レジン冠が保険導入されてから10 年をむかえようとしています。
兵庫県では、厚労省にCAD/CAM レジン冠の提供を届けている歯科医院数は2456件あって(令和6年1月1日現在)、県内の8割以上の歯科診療所が扱ってることになります。もちろん、仲田歯科医院では保険導入以来CAD/CAM レジン冠を提供していて、このホームページで「ハイブリッドCAD/CAM冠」と紹介しているのがCAD/CAM レジン冠です。 https://www.nakata-sika.com/treatment03
CADCAM レジン冠でかぶせる場合に、以下の点に注意します。
歯科医学的に認められている適応症は
奥歯の1本の 歯の被せ(冠)です。2本つなげたり、ブリッジに使うことはできません。
適応できない場合
歯の高さが低すぎる場合
歯を削ったときに嚙み合わせる歯との間にできる隙間が小さすぎる場合
隣の歯と近接して、すき間が少なすぎる場合
強く歯ぎしりする場合
症例によって、適応できるか、できないか検討が必要な場合
部分入れ歯を支える爪がかかる場合
被せる歯より奥に歯がない場合
自分の歯と色、ツヤ、形が高度に一致することを望む場合
歯内治療が終わった歯にCADCAM レジン冠を製作する場合の2024年1月現在の健康保険の負担金(3割負担、初診料、必要な検査の費用、必要な歯周病や歯内治療の費用を含みません)は、以下のとおりです。
土台を作って被せられるように形を整えて仮歯を作る:約3000円
型をとって噛み合わせを決める:約500円
CADCAM レジン冠を取り付ける:約5000円
合計:約8500円
歯が欠けたりなくなった場合にかぶせものや入れ歯などの人工物で補うことの専門学会として日本補綴歯科学会があります。この学会の調査によると、小臼歯(真ん中の歯から4番目、5番目)において最も多いトラブルは、「外れること」と公表してます。さらに、「外れた冠をつけなおしたら、その後は良好に経過する」とも公表しています。
CAD/CAM レジン冠は歯に接着しますが、取り付けてから接着力が向上します。ですから、とりつけた後は、しばらくは咀嚼を控えていただ くことほうよいです。当院では、「今日一日はできるだけ、かぶせのある方で硬いものを噛まない方が,かぶせが 長持ちします。」と説明しています。
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